ふたつの時を、重ねていく【『ふたつの弧が、重なるとき』番外編/不定期更新中】
 ◇

 ハーフタイムに入ると、コートではチアリーダーたちによる華やかなショーが始まった。

 パッと目を引くダンスで、スコートの裾がひらりと揺れる。
 高校時代チアリーディングをやっていた身として、楽しく真剣に見入ってしまう。

「おおっ! 可愛い!」
「一番右の子、スタイル良すぎじゃねっ!?」

 サークルの男性陣も分かりやすく盛り上がり始めた。

 面白がって前の二人を観察する。

 美絵は、水分補給をしながらも一応ダンスに視線を向けている祥太郎くんを見て、不満げになっている。
 彼がそれに気づいて「なに?」と小さく吹き出すと、美絵は唇を尖らせて「べつにー……」とそっぽを向いた。
 祥太郎くんはその分かりやすいやきもちに、肩を揺らして笑っている。

(ふふっ。祥太郎くんたら、まーた余裕ぶっちゃって)

 そんなふうに微笑ましく見ていた、次の瞬間だった。


「美絵ちゃんの髪、マジでシルクみたいに綺麗だね」


 私の横に座っていた一つ上の先輩が、ポニーテールにまとめていた美絵の髪に、不意に触れたのだ。

 手の主は私だと思ったのか、振り返って状況に気づいた美絵が「えっ?」と少し戸惑う。
 その声で同じように目を向けた祥太郎くんの顔も、ピクッと引き攣った。

 先輩に悪気がないのはわかる。
 でも、この人はたまに距離感がバグっているのだ。

「……ちょっ、先輩! ダメですよ〜。彼氏の祥太郎くんが膨れちゃうんでっ!」

 私はすかさず、明るく軽いノリで間に割って入った。

「あっ、ごめんごめん!」

 彼は慌ててすぐに手を離した。

 美絵は「いえ……」と愛想笑いをしている。
 祥太郎くんは、やや苦笑いを浮かべているだけで、怒っている様子は見せていない――けれど。

(おーい、祥太郎くん。目が冷たくなってるよー?)
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