ふたつの時を、重ねていく【『ふたつの弧が、重なるとき』番外編】
「じゃあ、また会えたらいいね。バイバイ!」
「……はい。ありがとうございました」
なんとか手を振り返し、見送った。
再びドアがギッと鈍い音を立て、唯子さんは雪の舞う外へ出ていく。
そして、路肩に停めてあった車の助手席へと乗り込んだ。
運転席にいる人物の顔は、ここからは見えなかった。
「…………」
彼女が年上の人と学生結婚をしたらしいということは、少し前に、同級生から噂で聞いて知っていた。
ただ耳にしただけではどこか遠い出来事のようで、まったく現実味を持っていなかったのだけれど。