凸凹だっていいじゃないか
 20分ほど待っていたら。

「あ、すみちゃん!」
「香澄ちゃん、まだ待ってたんだー!」
「矢野さんごめんねー」

 やっと3人組が帰ってきた。
 杏奈が花を咲かせたような笑顔で駆け寄ってくるものだから、少し心音が……ふう。

「んで、どこ行っていたの?」
「「小学校の校舎」」
「後藤先生にご挨拶ぅ♡」

 ……ほうほうほう、よくわかった。どうやらこの3人は、小学校校舎に行くことの伝達を怠って友達を待たせた挙句、それを深く反省しようとは微塵にも思っていないらしい。
 しかも奈央ときたら、恋焦がれている先生と会えたことに浮かれている様子。

「私置いていったの、何回目かなぁ?」
「「「ひぃっ」」」

 軽い調子のニッコニコ笑顔で言い、3人を怯えさせた。

「香澄ちゃん……コワイよぉ……」

 少し眉が下がってつぶやく杏奈を、思わずジッと見てしまう。
 あぁ……こういうところもかわいいな。
 毒されそうになって、スッと目を逸らす。
 いかせんいかせん、今日こそはきっちり言ってやらないと。

「私だからいいんだろうけどさ、社会はそんなに甘くないよ。恨み買ったら終わりだからね」
「「「ふぇーいっ」」」
「伸ばすな」
「「「はいすみませんでした」」」
「よろしい」

 こんなもんかぁ?
 声質を柔らかくする。
 膨張して話さないと聞かなくなってしまった3人、どうなの。

「じゃあすみちゃん、帰ろー」
「忘れ物すんなよ?」
「たぶんしない」
「……腕時計」
「え!?……あ、今日はちゃんと付いてるや」

 奈央は腕時計を、なぜかよく忘れる人だ。なぜ腕から外す?
 みんなでお出かけの時に某ファミリーレストランに忘れて以来、注意はしているけれど。
 最近も、私がいない時に忘れたようで……落とし物BOXに届けられていた。さすがに救いようがないと思いまーす。

 杏奈もバッタバッタ支度して。

「香澄ちゃん、行こっ!」

 もはや形容し難いほどかわいい笑みを浮かべて、後ろをくるっと向いてきた。
 ……反則だって、それは。

 こうして、新しい中学校生活が始まっていったのだった。
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