似た者同士の契約婚 ~結婚しないと宣言した日に出会った相手は、不眠の心臓外科医でした~
その日の夜、美空はリビングでぼんやりと椅子に座りながら、ただひたすらに針を動かす時計を眺めていた。
仁美や小野の言葉が頭から離れない。
『私たちはお互いが必要なの』
『優斗は私が浮気したって思ってるけど違うのよ!』
『孫たちの結婚がなくとも病院がすぐに潰れる訳じゃない』
(優斗さんは小野さんが婚約者のお祖父様だって、どうして教えてくれなかったの?)
そこまで考えて、美空は答えを導き出した。
「そうよ。私たちはただ契約結婚しただけの関係だもの。優斗さんが私に何か教える義務なんてないんだわ」
当然の答えに美空は自嘲気味に微笑んだ。
勝手に好きになって、勝手に踏み込もうとしたのは自分だけ。
その事実が情けなくて、惨めだった。
(もう寝なきゃ)
時計はもう深夜二時を越えている。
席を立つと、ちょうど玄関の扉が開く音がした。
「美空? ただいま。まだ起きてたのか?」
「お、おかえりなさい」
「今日は鞄を届けてくれてありがとう、助かったよ。それからこれも」
優斗が鞄から水筒を取り出す。
それは美空が出発前に入れたほうじ茶だった。メッセージカード付きの。
「あ、それ……」
「温かかったし、すごく嬉しかった」
疲れきった顔に笑みを浮かべる優斗を見ていると、いたたまれない。
(本当の妻でもないのにこんな真似して……)
「あの、明日片付けるので流しに置いておいてください。私はもう寝ます。おやすみなさいっ」
美空は逃げるように自室へと走り去った。もうこれ以上、優斗の顔を見ることが出来なかったのだ。
部屋に戻ると自然と涙が零れる。
(私はどうしたいの? ……どうすればいいの? 優斗さんが好きなのに)
布団に入っても、美空は眠ることが出来なかった。
仁美や小野の言葉が頭から離れない。
『私たちはお互いが必要なの』
『優斗は私が浮気したって思ってるけど違うのよ!』
『孫たちの結婚がなくとも病院がすぐに潰れる訳じゃない』
(優斗さんは小野さんが婚約者のお祖父様だって、どうして教えてくれなかったの?)
そこまで考えて、美空は答えを導き出した。
「そうよ。私たちはただ契約結婚しただけの関係だもの。優斗さんが私に何か教える義務なんてないんだわ」
当然の答えに美空は自嘲気味に微笑んだ。
勝手に好きになって、勝手に踏み込もうとしたのは自分だけ。
その事実が情けなくて、惨めだった。
(もう寝なきゃ)
時計はもう深夜二時を越えている。
席を立つと、ちょうど玄関の扉が開く音がした。
「美空? ただいま。まだ起きてたのか?」
「お、おかえりなさい」
「今日は鞄を届けてくれてありがとう、助かったよ。それからこれも」
優斗が鞄から水筒を取り出す。
それは美空が出発前に入れたほうじ茶だった。メッセージカード付きの。
「あ、それ……」
「温かかったし、すごく嬉しかった」
疲れきった顔に笑みを浮かべる優斗を見ていると、いたたまれない。
(本当の妻でもないのにこんな真似して……)
「あの、明日片付けるので流しに置いておいてください。私はもう寝ます。おやすみなさいっ」
美空は逃げるように自室へと走り去った。もうこれ以上、優斗の顔を見ることが出来なかったのだ。
部屋に戻ると自然と涙が零れる。
(私はどうしたいの? ……どうすればいいの? 優斗さんが好きなのに)
布団に入っても、美空は眠ることが出来なかった。