あなたに触れたい
「ああ、これじゃダメですよ」
彼が片手を私の椅子に置き、マウスを動かした。
後ろから囲まれてドキッとする。
マウスを動かす手から私は腕に目線を移す。
シャツを捲っている腕に浮き上がる血管。
ゾクッと心が震えた。
「聞いてます? 森田さん」
私の顔を覗き込むのは結城宗一郎(ゆうきそういちろう)、私の上司である。
メガネをしているインテリ系だが、肩幅が広く決して細くないその体つきに女子社員たちは夢中だ。
もちろん私もそのひとり。
「え? あ、はい」
「じゃあ、やってみてください」
パソコン画面を見つめる。
「こ、こうですか?」
「違いますよ、まったく……聞いてなかったでしょ」
クスッと笑いながらそう言い、マウスを掴む私の手を掴んで動かした。
なんて反則技を。
「わかりました?」
「はい、ありがとうございます」
結城さんが私から離れて、ようやくまともに息が出来た。
残った微かな香りが私をまとう。
嫌じゃないその香りは何だろう。
家で炊いているお香か、香水か。
香水をつけてそうなタイプではないので家の香りかも。
そんな妄想をついついしてしまう。
「ちょっと、ちょっと! 今、手握られたでしょ」
興奮気味で声を掛けてきたのは隣の席の同期の野中聖美(のなかさとみ)だ。
「しっ! 他の人に聞かれたらまずいでしょ」
「そうね、刺されちゃうかも」
「やめてよ」
ちらっと結城さんを見つめる。
男性社員が声をかけて書類を見つめていた。
真剣な表情も好き。
そしてやっぱりファイルを持つあの腕のーー
彼が片手を私の椅子に置き、マウスを動かした。
後ろから囲まれてドキッとする。
マウスを動かす手から私は腕に目線を移す。
シャツを捲っている腕に浮き上がる血管。
ゾクッと心が震えた。
「聞いてます? 森田さん」
私の顔を覗き込むのは結城宗一郎(ゆうきそういちろう)、私の上司である。
メガネをしているインテリ系だが、肩幅が広く決して細くないその体つきに女子社員たちは夢中だ。
もちろん私もそのひとり。
「え? あ、はい」
「じゃあ、やってみてください」
パソコン画面を見つめる。
「こ、こうですか?」
「違いますよ、まったく……聞いてなかったでしょ」
クスッと笑いながらそう言い、マウスを掴む私の手を掴んで動かした。
なんて反則技を。
「わかりました?」
「はい、ありがとうございます」
結城さんが私から離れて、ようやくまともに息が出来た。
残った微かな香りが私をまとう。
嫌じゃないその香りは何だろう。
家で炊いているお香か、香水か。
香水をつけてそうなタイプではないので家の香りかも。
そんな妄想をついついしてしまう。
「ちょっと、ちょっと! 今、手握られたでしょ」
興奮気味で声を掛けてきたのは隣の席の同期の野中聖美(のなかさとみ)だ。
「しっ! 他の人に聞かれたらまずいでしょ」
「そうね、刺されちゃうかも」
「やめてよ」
ちらっと結城さんを見つめる。
男性社員が声をかけて書類を見つめていた。
真剣な表情も好き。
そしてやっぱりファイルを持つあの腕のーー
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