矢神さん僕の事誘ってます⁈〜番外編〜
「時期尚早ではありません。僕は出会った時から考えていました。それにもう茉希のお腹の中には僕達の愛の証がいるでしょう。」



本当にこの人は、どうしてそんな恥ずかしい歯の浮いたような台詞を簡単に口に出来るのだろう。



「茉希、改めて僕と結婚してください。出会ったばかりで信じられないだろうけど、君を全身全霊で幸せにします。」



人生で初めて言われたプロポーズに感激の涙がでてくる。



「私は可愛い女じゃないから、いい妻にはなれないわよ。貴方を幸せに出来ないかもしれない。」



こんな時でも、素直に可愛い返事ができない。素直に返事もできない自分が本当に嫌になった。



「茉希は可愛いですよ。出会った時からずっと。茉希はすごくお酒を飲んでたから覚えてないだろうけど、飲み屋で一緒にお酒を飲んでた時、茉希は言っていました。私は可愛い素直な女性じゃないし、いつも自分から男の人を追いかけてばっかりだから煙たがられて嫌がられて振られてばっかりって…。それを聞いて、僕は可愛い女性だと思いましたよ。本当は弱い可愛い女性なのに、自分をうまく表現できない素直になれない女性なんだと思いました。だから僕は、茉希に恋人同士にならないかと言ったんです。だって、茉希は彼氏に振られた。私も結婚したい。人並みに幸せが欲しいと嘆いていたから。」



夏弥の言葉であの晩自分がそんな事を口走っていた事が恥ずかしくなった。酔って言った言葉だが、自分が本音を言ってしまっていた事に顔が赤くなる。



「そ、それなら最初にそう言ってくれたら良かったのに。そしたら不審がる事も胡散臭く思う事もなかったのに。」



ポツリと言って涙ぐんでいる自分はまるで夏弥によって素直にさせられた少女のようだと恥ずかしくなる。



そうか。私は最初から夏弥の前では素直だったのだ。最初から何となくこの人は苦手で胡散臭いと感じていたけれど、この人は私を少女のように丸裸にしてしまう人なのだ…。



私は最初から夏弥には敵わないのだと思い知った。
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