御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う
「司! いいから仕事しろ!」
「へいへい」

 雅人は司を睨みつけると、手元の画面を覗き込む。今は司が研究所内のモニターを画面に映し出しているところだった。

「何か変わった様子はあるか?」

 雅人の問いかけに司が大きく首を振る。

(一斉清掃の日に動きがあるというのはデマか?)

 雅人が眉をひそめた時、隣で司がお手上げというように大きく伸びをした。

「やっぱりさぁ、雅人が社長になってからの方が調べやすいんじゃない?」

 司の言うことは一理ある。雅人も今日で何か掴めるとは思っていなかった。

「誰か協力者でもいると助かるんだけどなぁ。あ! さっきの小夜莉ちゃんとか? 可愛かったよなぁ」

 すると司がヘラヘラと頬を緩ます。その横顔を再び軽く睨みつけた雅人は、パソコンの画面に目線を戻しながら、自分も小夜莉の姿を思い出す。
 確かに雅人も小夜莉の素顔に驚いたのは事実だ。
 でも社内では能面女史と呼ばれているところを見ると、きっと小夜莉は今まで誰にも素顔を見せていないのだろう。

(どうしてそんなことを? それに、腕を掴まれた時の反応も気になる……)

 雅人はそこまで考えて、慌てて小さく首を振った。さっきから小夜莉のことばかり考えてしまっている。雅人はふっと息を吐くと、画面上のフォルダをクリックした。
 今日は予定されていたスケジュールを後回しにしてでもここにやって来たのだ。確認できることは全て片付けたほうがいい。
 雅人は気持ちを切り替えるように姿勢を正すと、再びパソコンに向かった。
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