御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う
「よし! まずは片付けちゃおう」

 小夜莉は腕まくりをすると、段ボールの蓋を開ける。ベッドや必要な家具など一式は全て雅人が新しいものを揃えてくれた。小夜莉が 一人暮らしの時に使用していたものはほとんど処分してきたので、荷物と言えば洋服や雑貨など、こまごまとしたものだけだ。部屋は数日前にクリーニングが入ったと聞いていた通り、とても綺麗で床はピカピカに輝いている。
契約結婚の相手、いわばただの同居人なのに、ここまで丁寧に準備してもらっては申し訳ない。

(なんだか本当の新婚みたい……)

 これから始まる生活にドギマギとしながら片づけを進める。
 結婚式の時と同様、雅人はそれ以降も小夜莉に触れるようなことは一切ない。適度な距離を保ち、気を使って接してくれるのがわかるのだ。そんな様子が垣間見れるたびに小夜莉の心はドキドキと鼓動が早くなる。そしてそれはいつしか、雅人の顔を見つける度に引き起こされるのだと気がついた。

(これって緊張で高鳴っているんだよね……?)

 小夜莉は戸惑いながらふと手を止める。でもこれは契約結婚なのだ。お互いの目的が達成されば、あと腐れなく別れることが決まっている。
 小夜莉は首を大きくふるふると横に動かすと、洋服をしまうためにウォークインクローゼットに移動した。
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