傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
「ふっ……あはは! 律儀ですね、水嶋さんは」
「それだけ、助かったってことです」

 彼の視線が揺れる。
 私からの申し出を受け入れるか悩んでいるのだろう。遠慮せずにぜひ、と念を押したら、彼の表情から迷いが消えた。

「では、お願いしてもいいですか? 実を言うと、水嶋さんが作るからあげとチキン南蛮、食べてみたくて」

 そう言って、彼が私からカゴを奪う。
 他に必要な物はないかを聞かれて大丈夫だと答えたら、すぐにレジまで持って行ってくれた。

「あっ、今回は私が払いますからね」
「いえ、そうはいきませんよ。俺も食べますし。それに、作っていただく労力もありますし……」
「それだとお礼になりません。この前のカレーの件もありますし」

 ここは絶対に譲れないと彼がカードを取り出す前に、私がスマホの決済コードをスキャナーに読み込ませる。
 彼は困った顔で笑うと、ありがとうございますと言って、荷物を持ってくれた。

「では、これぐらいはさせてください」

 すべて彼に持たせるのは忍びないけれど、一つの袋にすべての食材をまとめてしまったため、私では手出しができない。
 ここは素直に甘えることにして、彼と一緒にマンションまで帰ると、玄関の前で荷物を受け取った。
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