傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
 からあげとご飯を交互に頬張る彼を見ていると、自然と嬉しい気持ちになる。
 こんなふうに、家族以外の誰かに料理を振る舞ったのは彼が始めてだ。そして、同じ食卓を囲むのも。
 なんだか、母や兄がいた頃を思い出す。
 最近の兄は、いつも変な時間にやってくるので――彼女がいるためなかなか休日にはこれないのだろう――ご飯を振る舞う機会も減ってしまった。

 だから、誰かに美味しいと言ってもらえるのは嬉しい。

 彼はチキン南蛮にも箸をつけると、静かに唸っていた。

「同じ鶏料理なのに、また違っておいしい……。天才ですね」
「案外、慣れると簡単ですよ。たくさん鶏肉を買って、一気に揚げればいいので、油も使いまわせていいんですよね」

 彼は何を食べても美味しいと言ってくれて、みるみるうちに皿の上のおかずが減っていく。
 ご飯も味噌汁も、野菜のマリネもおかわりしてくれて、米粒ひとつ残さずにきっちり食べてくれた。

「ご馳走でした。とても美味しかったです」
「お粗末でした」
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