傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜

 ◇

 夕方、ある程度仕事も片付き、今日も定時で退社できそうだという頃に、地下駐車場で鉢合わせた井上さんが戻ってきた。
 彼女とは片瀬さんの一件があってから、会話をしていない。
 元々、私から彼女に話しかけるときは仕事の要件のみだ。彼女から話しかけてくる頻度のほうが圧倒的に多かったため、井上さんが私に興味を示さない限り、会話量も自然と減っていく。
 それどころか、最近は無言で睨まれていることが多くてやりづらい。

 私はマグカップを持つと、逃げるように給湯室へ向かった。

「ハァ……」

 つい溜め息が出てしまうのは、剥き出しの敵意に晒され続けているからだ。
 とぼとぼと廊下を歩いていると、女性社員数名の声が聞こえてきて、私は咄嗟に足を止めた。

「聞いた? 水嶋さんの話」
「あー、片瀬さんとだけ仲がいいって話だよね」
「元々、水嶋さんって男性が苦手って聞いたけど」
「そういうフリしてるだけじゃないの? だって、イケメンの片瀬さんとは普通に会話してるし」
「それね〜。やっぱりフリだったんだよ」
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