傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
「これは水嶋さんが持ってて」
「は、い……」
「それじゃあ、また」

 颯爽と歩いていく後ろ姿を見つめ、手の中にある鍵を握り締める。

 嬉しい。それだけ心を許してくれているのだと思うと、頬が緩んだ。

(ダメダメ。あと少し集中しないと……)

 緩みそうになる頬を引き締めてオフィスに戻り、最後まで仕事を片付けていく。
 結局、井上さんはデスクに戻って来ず、後ほど早退していたことを知った。
 あまり思い詰めすぎなければいい、と思う判明、しっかり反省して次の部署で活躍してほしいとも思う。

 私は仕事を終えて会社を出ると、スーパーに寄り、買い物を終えてから彼の部屋の前で預かった鍵を取り出した。

(本当に使っちゃっていいんだよね……)

 本人が不在の中、勝手に入るのは……と思ったけれど、せっかく預かったのだからと思い切って中へ入る。

「お邪魔します……」

 私は誰もいない部屋で挨拶をすると、スーパーで買ってきたものを使って早速料理することにした。

「よかった……。調理器具、揃ってるみたい」

 自炊はできないと言っていたけれど、挑戦しようと試みたことはあるらしく、最低限の調理器具は一通り揃っている。

 それらを使って料理を作り、完璧に準備ができたところでインターフォンが鳴る。
 扉を開けたら彼が立っていた。
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