傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
 彼の言葉を聞いて、彼女が青い顔でふらふらと休憩室を出ていく。
 取り残された私たちは、顔を見合わせた。

「大丈夫だった?」
「はい……。彼女なりにいろんなことがショックみたいだったようで……」
「でもそれは水嶋さんのせいじゃないよね」

 彼が励ますように、私の頭をぽんと撫でてくれる。
 後味の悪さがあったけれど、いまの労いで少しだけ気分が晴れた。

「これから会社を出るんですか?」
「うん。今日は帰りが遅くなりそう」
「わかりました。じゃあ、ご飯作って待ってますね」
「嬉しい。今からお腹鳴っちゃいそう」
「それは早すぎですよ」

 さらりと冗談を言われて、くすくすと笑う。
 彼はなにかを思い出したかのように「そうだ」と呟くと、鞄の中を探り、部屋の鍵を取り出した。

「今夜もうちに来るだろうから」
「えっ、え? 待ってください、これはちょっと早いです……」
「そうかな? でも毎回インターフォン鳴らすの面倒じゃない?」

 昨日も一昨年も彼の家にお邪魔した。今日もご飯を作ったあとは、彼の家へ向かう予定になっている。
 だからなのだろう、手のひらに合鍵を乗せられた。
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