傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
 そう尋ねられて、私はこくこくと頷く。
 彼はふにゃりと破顔すると、俺のことも透って呼んで、と囁いた。

「透……さん?」
「うん、いいね。できれば、敬語もなくしてもらえると嬉しいけれど」
「わかりまし……じゃなくて、わかった……」
「時間がかかるかもだけど、少しずつ慣れてもらえたら嬉しいかな」

 彼が私の体を引き寄せ、優しく抱き締めてくれる。
 私も抱き締め返したら、ぽんぽんと頭を撫でられて、その手が耳の裏を撫でた。そのまま手が顎まで滑り落ちてきて、彼の指が顎下にかかる。
 少しだけ体が離れて、私の顔を覗き込むように彼の顔が傾けられた。

「触られて、嫌じゃない?」
「嫌、じゃない……です」
「もし怖かったり、まだ早いってことなら、これ以上は何もしないけど」

 気付けばこつんと額が合わさっている。あと少しでも近付けば唇が触れ合う距離だ。

 さっきから心臓の音がうるさいし、痛い。
 恥ずかしくて逃げ出したくなる。
 だけど、もっと彼に触れてもらいたい。

 私は、怖くない、と息を吐き出すように告げた。

「……っ」

 その瞬間、優しく唇が重なる。
 一瞬で離れていく柔らかな感触がもどかしくてつい目で追ったら、また同じように口づけられた。
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