傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
08 同じ場所に帰りたい
 夏に入る前、井上さんは別部署に異動した。

 どこへ行くのか詳しく知らなかったけれど、備品管理などを行う部署へ異動になったらしい。
 同じフロアで仕事はしているけれど、島がかなり離れているのと、基本的に別のフロアにある備品管理室にいることが多いため、彼女の姿を見ることはなくなった。
 風の噂ではしっかり仕事に励んでいるとのことで、それを聞いて安心する。

 彼との交際も順調で、朝は会議が詰まっていたりアポイントがあったりしない限りは一緒に出社している。
 そして、帰宅後はどちらかの部屋で夕飯を一緒に食べている。さすがに毎日とはいかないけれど、できる限り時間を合わせるようにしていて、私は毎日穏やかに過ごしていた。

 そんな折、また兄から連絡がきて食事に誘われた。

『また葉月、既読無視して〜。三人での食事、今度一緒にどう? あ、もし他に連れて来たい人がいたら誘ってくれてもいいよ。この前の彼とか。そしたら四人になるねぇ』

 さり気なく探りを入れているのだろう。
 この前の彼とか、というあたり私の反応を窺っている。

 私はどうするべきか、ソファーでくつろいでいる彼に問いかけた。

「透さん、兄から食事にどうか、と誘われているのですが……」
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