傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
 そこまで言って、兄が苦しそうに俯いて首を振る。
 兄は「違うな……」とぽつりと零すと、顔を上げて私を見た。

「そんなのは葉月に関係ないな。トラウマまで植え付けてしまったんだから。傍にいたのに、気付いてやれなくてごめん。それどころか剛人と葉月が……なんて一瞬でも望んでしまってごめん。剛人にはもう葉月には近付くなと言っておくから……」
「うん」
「俺はアイツと幼馴染だし、友人としてはいい奴だとも思っている。だから、今回の件で完全に縁を切ることはしない。だけど、葉月のことはしっかり怒っておくし、付き合い方は変えるつもりだ」
「ありがとう……。怒ってくれるだけでも十分だよ」

 この先、剛人が私に絡んでくるようなことがなければそれでいい。だから私は大丈夫だと笑えば、兄が幼い頃にしてくれたようにぽんぽんと頭を撫でてくれた。

「礼を言うのは俺のほうだ、ありがとな葉月。こんな兄を許してくれて」
「お兄ちゃんは私のことをいつも気にかけてくれてるもの……。剛人の件は、ちょっとから回っちゃっただけでしょ」
「はは、葉月は優しくて強い子だ。お兄ちゃんは嬉しいよ。それに素敵なパートナーも見つけてくれたことだし……。ちょっぴり寂しいけどな」

 そんなことを話しながら、二人が待つテーブルへ戻っていく。

 それから私たちは、また顔合わせのときに会おうと約束して、ホテルの前で別れた。

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