傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
「……今日はありがとう。透さん」
「こちらこそ、素敵な機会を設けてくれてありがとう」

 タクシーで帰るという兄を二人で見送り、私たちもホテルのロータリーでタクシーを捕まえて家まで戻っていく。

 帰る場所はもちろん、彼の部屋だ。
 最近では、そちらがすっかり私の部屋になってしまった。

「ただいま」
「おかえりなさい」
「透さんも」

 玄関に入るなりぎゅうっと抱き締められて、しばらく互いの熱を分け合う。
 彼は私を抱き締めたまま、ぽつりと呟いた。

「今度さ、俺の家族にも会ってほしいな」
「いいの……?」
「もちろん。きっと喜ぶよ」

 彼が実家と疎遠気味になっている理由を知っている。付き合ってしばらく経ってからその理由を聞かされた。
 だから彼にとって私を実家へ連れていくということは相当な覚悟が伴うことである。
 それと同時に、未来のことまで考えているという証拠でもあるのだ。

 じんわりと胸の奥が熱くなって、私は甘えるように彼の体を強く抱き締めた。
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