傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
「……わかりました。ではここでしましょう。空いているところの椅子、持ってきますね」

 彼の声が僅かに萎んだことに気付いて、申し訳なく思ってしまう。

 長年、SWカンパニーの東京本社にいる社員は私の男性嫌いを知っているけれど、異動してきたばかりの彼はその事情を知らない。
 だから、突然態度を急変させた私を見て戸惑っているのだろう。

 空いている椅子を引きずって戻ってきた彼の表情は、先ほどよりも強張っていた。

「それじゃあ早速、案件の資料なんですが……」
「……ありがとうございます」

 彼から手渡された資料を受け取り、なるべく顔を合わせないように俯いて資料を読み込む。

 SWカンパニーは食品を扱う専門商社だ。
 国内商品はもちろんのこと、SWカンパニーでは海外から輸入した風変わりな食品も市場に卸していて、スパイスやお酒、燻製品といった商品をセレクトショップに提供している。
 最近はそこから派生して宗教によって食べられないものがある人に向けた商品や、食事に制約がある介護、医療現場用の商品も卸しており、今回はそういった方に向けた営業用の資料を準備してほしいという依頼だった。
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