傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
02 ちょっぴり抜けてるオフの彼
 彼から頼まれた資料を完成させ、無事に提出してから一週間。
 私は彼とオンでもオフでも一切言葉を交わさないまま、避けるように生活していた。

 以前は彼と話せることを期待して、ベランダに長く居座ることもあったけれど、今では洗濯物を取り込んだら速攻で部屋に戻っている。
 洗濯物を取り込んでいる最中であっても物音がした瞬間、すぐに部屋へと引っ込むことで彼との接触を避けていた。

 帰りだって、同じ電車、同じ方向だとわかっているのに、鉢合わせしそうになると、わざわざ別ルートを選んで帰っている。

 地味にストレスが溜まる生活だけれど、彼と相対したときのほうがもっと怖くて、私は身を潜めるように生活していた。





(今日も疲れたな……)

 電車を降り、改札を抜けて、駅からマンションまで続く道をとぼとぼと歩いていく。
 私は両肩に重くのしかかった疲れを払うように肩を揉むと、ずり下がった鞄をかけ直した。

 四月は年度内で消化する予算が決まっているため、通常であれば閑散期になりがちだ。
 だというのに、今年は優秀な営業マンが多く異動してきた影響もあるのか、新規の案件が途切れない。
 そのため、連日の残業で疲れ切っていた。

「週末はのんびりしたいな……」

 ちょっとだけ豪華なご飯を作って、家で映画を観るのもいいかもしれない――。
 と、週末に思いを馳せ、ぼんやりと歩いていたところでポンと肩を叩かれる。

 驚いて振り向いたら、後ろに片瀬さんが立っていた。
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