傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
私より少し前に立ち、適度な距離で接してくれる彼の優しさに不覚にもドキリとする。
他の男性はみんな私の態度を見て、怖い、つまらない、不快だという感情を露わにして離れていくのに、片瀬さんはいつもと変わらずに接してくれた。
「ではまた、ベランダでも話しましょうね。俺、あの時間が好きなので」
そう片瀬さんが言って、先にエレベーターを降りていく。彼は振り返って私に軽く手を振ると、あっさりと部屋の中へ入っていってしまった。
それを名残惜しく思いながら、私も自分の部屋に入っていく。
換気されていない部屋は空気が蒸されていて、むわっとしている。
私は肌に纏わりつく空気を切りながら寝室の奥にある窓に手をかけた。
(今なら片瀬さんと話せる気がする……)
そう思ってベランダに出たら、ほどなくして先ほど別れたばかりの彼も外に出てきた。
「お疲れ様です、水嶋さん」
「片瀬さんも、お疲れ様です……」
まだ少ししか経っていないのに、もう彼はオフの姿だ。
いつもの黒縁眼鏡と下ろされた前髪を見て、ふふっ、と笑った。
「な、なんですか……? 俺、変な格好してます?」
「いえ、オンとオフの姿が真逆だなぁ、って思って」
「あぁ……。本当は眼鏡のほうが楽でいいし、前髪も下ろしているほうが落ち着くんですけどね。ただ、新人の頃に営業マンは第一印象が命だと先輩に言われまして」
他の男性はみんな私の態度を見て、怖い、つまらない、不快だという感情を露わにして離れていくのに、片瀬さんはいつもと変わらずに接してくれた。
「ではまた、ベランダでも話しましょうね。俺、あの時間が好きなので」
そう片瀬さんが言って、先にエレベーターを降りていく。彼は振り返って私に軽く手を振ると、あっさりと部屋の中へ入っていってしまった。
それを名残惜しく思いながら、私も自分の部屋に入っていく。
換気されていない部屋は空気が蒸されていて、むわっとしている。
私は肌に纏わりつく空気を切りながら寝室の奥にある窓に手をかけた。
(今なら片瀬さんと話せる気がする……)
そう思ってベランダに出たら、ほどなくして先ほど別れたばかりの彼も外に出てきた。
「お疲れ様です、水嶋さん」
「片瀬さんも、お疲れ様です……」
まだ少ししか経っていないのに、もう彼はオフの姿だ。
いつもの黒縁眼鏡と下ろされた前髪を見て、ふふっ、と笑った。
「な、なんですか……? 俺、変な格好してます?」
「いえ、オンとオフの姿が真逆だなぁ、って思って」
「あぁ……。本当は眼鏡のほうが楽でいいし、前髪も下ろしているほうが落ち着くんですけどね。ただ、新人の頃に営業マンは第一印象が命だと先輩に言われまして」