傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
 私はハァと溜め息をつくと、荷物を下ろし、自席の椅子を引いた。
 机には営業さんが置いたらしい資料が幾重にも積み上がっている。
 男性の営業さんはみんな、私があからさまに避けたり身構えたりして睨むような視線を向けるから怖いという理由で、私がいない間に資料を置いていくのが暗黙知になっていた。

(気持ちを切り替えて仕事しないと……)

 相変わらず、隣に座る井上さんからの圧は強いけれど、パソコンを立ち上げ、朝礼が始まる前にメールやチャットに来ている連絡を捌いていく。
 途中で朝礼を挟み、午前中のうちに細々とした仕事を片付け、昼休みに差し掛かろうかというタイミングで真横からドンと資料を置かれた。

「せんぱーい。ちょっと手が回らないので、総合病院の案件、お手伝いいただけますか?」

 もうリーダーにも相談して、先輩に手伝ってもらってもいいとお墨付きをもらってきましたから、と告げる彼女に、私はぐうの音も出なくなる。

 彼女が勝手に案件を押し付けてきたのならば無理だと突っぱねることもできるけれど、リーダーに相談して了承を得ているのなら話は別だ。

 既に朝からたくさんの仕事が詰まっていて、私も余裕がないけれど、リーダーとしては後輩の仕事は上司が巻き取れというスタンスなのだろう。
 仕方なく引き受けることにした。
< 48 / 172 >

この作品をシェア

pagetop