傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
04 今夜だけは恋人
「はーづーきー! よかった、会えて! 相変わらず、葉月は美人で可愛くてキュートだねぇ」
「おい、伊月。美人と可愛いは系統が違うだろ。混ざらないっての」
「はぁ!? 葉月は美人で可愛いでしょ」
「つーか、こんな夜更けに廊下で喚くなよ。近所迷惑になる……」

 兄に対して容赦のないツッコミを入れるのは、伊月の友人である相川剛人だ。
 ふわふわとお調子者でもある兄とは対照的に、剛人はしっかり者でいつも兄の手綱を握っている。
 キリッとした目元に高い鼻筋、背の高さと手足の長さを生かしたスマートなスーツの着こなしをする剛人は黙っていればイケメンの部類で、背格好は隣にいる片瀬さんとあまり変わらない。
 だけどひとたび口を開けば私への罵詈雑言が酷く、嫌がらせに余念のない人だった。

(絶対に会いたくないって思ってたのに……!)

 兄から、剛人とも会う? と聞かれるたびに、私は接触を避けてきた。
 兄はなぜか私と剛人を引き合わせたがる人で、兄としては妹である私の面倒を見てくれる人がひとりでも増えたらいいという気持ちで間を取り持とうとしているのだろう。だけど、正直いっていい迷惑だ。

 彼のせいで男性嫌いが加速したというのに。
 それもやっと、片瀬さんとならまともに会話ができると喜んでいたのに。
 このまま克服できたらいいのに……と思っていた矢先でこれだ。

 剛人は私を見るなり、フンッと鼻を鳴らした。
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