傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
「相変わらず成長がないな。昔のちんちくりんのままだ」
「……」
「ちょっと、俺の妹をいじめないで! 葉月は可愛いだろ」
「はいはい、そーですねー」

 兄は、剛人が私に対して何か言うたびに怒ってくれるけれど、半分くらいは冗談だと思っている。
 だから、この場に私の味方はいなかった。

「お兄ちゃん……」
「なぁに、葉月」
「泊まるのは、お兄ちゃんだけじゃなかったの……?」
「ごめん。実は剛人と飲んでてさ。一緒に駄目かな?」

 ……駄目だ。駄目に決まっている。のに、うまく言葉が出てこない。
 そんな私を剛人がひと睨みしたあと、視線を片瀬さんに向けた。

「ていうか葉月、後ろの男は誰だよ?」
「か、彼は……! 同じ会社の先輩で……。たまたまお隣同士で……」

 だから関係ない。いちいち絡まないで、という意味も込めて、片瀬さんを後ろに下がらせようとする。
 それを見て、剛人は片眉をつり上げた。

「なーんだ。てっきり彼氏かと思ったけど違ったのか。ま、そうだよな。お前は昔からどんくさいし、伊月にべったりだし、彼氏なんてできるわけないよな」
「……」
「ほら、すぐ黙る。どうせ、誰にも相手にされないんだったら、俺がもらってやろうか?」
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