傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
 そんなことを悶々と考えていると、また寝室の扉が開いてペタペタと足音が聞こえてくる。
 かと思ったら、リビングへ戻ったりもしていて、つい意識が彼の方に向かってしまった。

(……眠れない)

 リビングの椅子よりは寝心地が格段にアップしたけれど、やっぱり環境が変わると眠れない。
 私は一度、冷たい水を飲もうと、ソファーから降りて寝室の扉を開いた。

「あら、眠れませんでしたか?」
「……すみません。目が冴えちゃって。それと、お水をいただければ、と」
「お茶にします?」
「いえ、水道水で大丈夫です……!」

 贅沢なことは言っていられない。水道水を少しもらえればと思ったけれど、彼はわざわざカップを用意してお茶を注いでくれた。


「すみません。ありがとうございます」
「いえ」

 私と同じようにカップに口をつける彼はすっかりオフモードの姿だ。
 シャワーを浴びて髪がいつもよりボリュームダウンしているけれど、重ための前髪は相変わらずで眼鏡の下からは眠そうな目が見える。

 彼もうっすらとした眠気はあるものの私がいるせいで眠れないのだろう。そう思うと、申し訳なくなってきた。

「あの、私、やっぱり……」
「そうだ。眠れないのなら、映画でも見ませんか?」
「……へ?」
「俺、ソファーで映画を見ながらよく寝落ちちゃうんですよね。眠れない日はあえてソファーにいることも多くて」
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