傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
「それではお休みなさい」
「……はい」

 部屋の照明が落ちて、静寂に包まれる。
 薄暗くなった部屋で彼が動いている気配がして、寝室を出ていくのがわかった。
 シャワーでも浴びているのだろうか。リビングから足音が遠ざかって、僅かに水音が聞こえてくる。

 静かになると、途端に自分の置かれている状況に背徳感を覚えた。

 片瀬さんは同僚で、付き合っているわけでもなく、ただの隣人で――……。

 顔馴染み以上、友人未満の関係だというのに、こうも簡単に私を部屋に上げていいのだろうかと不安になってしまう。
 彼は私に対して危機感がないと言っていたけれど、それこそ彼だってその意識が抜けている。

 もし私が彼のいないこの時間で悪巧みするような人だったらどうするんだろう……と、彼の純粋さが不安になった。
 私も人のことは言えないけれど、彼だって私のことを信用しすぎている。
 それこそ、こちらが心配してしまうほどに。
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