道しるべみたいな恋だった
そんな思い出を振り返るうちに、缶コーヒーは空になっていた。

空になった缶コーヒーをゴミ箱に捨て、私はデスクに戻る。
 
昨日と同じように、目の前にアイシャドウとチークを並べていく。

あれだけ校則違反を気にしていた時は終わり、私は社会人になり、当たり前にメイクもするようになった。

メイクをせずに、遅刻とは無縁だった私は、毎日のようにメイクをして、始業時間のギリギリに会社に来る時だってある。

今の私を彼が見たら、なんと言うだろうか。

『ギリギリでも遅刻しないのが、まさに相川って感じ』

彼が言いそうな言葉が頭をよぎって、つい笑いそうになってしまう。
 
もう一度、企画会議の資料を取り出す。

1ページ目に大きく書かれた「テーマ 忘れられない恋」という文字。

そして、頭をよぎる課長との会話。

『えっと、フィクションでも良いんですよね?』

『いやー、出来たらリアリティがあった方が良いから……まぁ、そこら辺は適当に』

彼との思い出をCMにするべきだろうか。

そして、どうやってアイシャドウとチークを売り出そうか。
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