黒い羊と無菌狂
マユ
『目、覚めたでしょ?早く行こ!』

マユが私を急かしてきた。

子どもの頃から慣れ親しんだお祭りが楽しみで仕方ないみたい。

ミオネ
「マユ、張り切ってるね。」

マユ
『もちろん!』

ミオネ
「久しぶりのお祭りだもんね、何食べようか…。」

カチャリ…!

マユが突然、ハンドドライヤーのような器具を私に向けてきた。

ミオネ
「な…何?マユ…どうしたの…?」

穏やかだったマユの瞳は、いつの間にか濁り、紅く血走っていた。

マユ
『そりゃ張り切るよ、こうして…。』



 ―『”人狼狩りの続き”ができるんだもの…!』―



…夢であってほしかった。

今日、私は走ってなんかいない。

これから幼馴染とお祭りを楽しみに行くだけ。

ワ〇チン未接種者を狩る、恐ろしいゲームの渦中にいるなんて信じたくなかった。

チカッ、チカッ、

紅いレーザーポインターが、私にまとわりついて離れなかった。

マユ
『寝起きのところ悪いね…驚かせて。』

ミオネ
「…………。」

マユ
『逃げてもムダよ?ミオネはもう捕捉済み…。』

ミオネ
「ねぇ…マユ?」

マユ
『何?最期くらい何でも聞いてあげ…。』

ミオネ
「どうして…公園の裏口で私を消さなかったの?」

マユ
『え…?!』

ミオネ
「どうして…思い出の丘まで…”わざと”逃がしてくれたの…?」
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