再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
気がつけば周りの人たちも、すっかりお酒がすすんでいた。
あちこちで笑い声が聞こえ、いつもは静かな人まで饒舌になっている。

「夏木さん、彼氏いるよね?」

ビールを片手に、ウェブデザイナーの近藤爽子(こんどうさわこ)さんが話しかけてきた。
近藤さんとは、挨拶を交わす程度だ。
いつも清潔感のある白のブラウスに黒縁眼鏡。
仕事中は、無駄話は一切しないような印象で、真面目という言葉がよく似合う女性だった。

その近藤さんが、お酒が入ると恋愛の話を興味津々に聞いてくる。

「えっと……」

返答に困っていたら、緑さんが割って入った。

「はいはい、近藤さんストップね。誰よ、こんなにお酒を飲ませたの」

「勝手に飲んだんだよ」

そう言って、向かいで笑っているのは、営業の冴島一樹(さえじまかずき)さんだ。
緑さんの同期だと聞いている。

「やっぱり酒が入ると普段とのギャップがすごいな。あの無口な近藤さんはどこって感じだし」

「ちょっと、感心しないでよ。次からはノンアルコールにしてあげてね」

緑さんが冴島さんを軽く睨む。

「もう、私がいなくなったら誰が近藤さんのストッパーになるのよ。さえじ、頼んだわよ」

「えー、俺は嫌だよ。めんどくさいもん」

「緑さん、大丈夫ですよ。私が頑張るので」

「さすが、松ちゃん! 頼もしい。さえじとは大違いね」

「俺だってやるときはやるけどね」

ワイワイと、そんなやり取りが続く中、私はそっと立ち上がる。
覚束ない足取りでレストルームに向かった。
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