再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
用を足して、手を洗う。
鏡に映った顔は、思った以上に赤く、酔っているのがひと目で分かる。
さすがに、このあとのお酒は控えよう。
レストルームを出ると、通路の向こうから歩いてきたテツと出くわした。
私の顔を見るなり、眉間にシワを寄せる。
「おい、まさか飲み過ぎてるんじゃないだろうな」
「飲み過ぎてないよ」
「嘘つけ。足元もふらついてたし、顔が真っ赤だぞ」
鏡で確認したばかりなので、言い返すことができない。
「もうこれ以上、飲むなよ」
「そんなこと言われたって、勧められたら断れないじゃん」
唇を尖らせて言う。
「俺が手を回しとくから大丈夫だ」
なにそれ、と思いつつも、正直ありがたかった。
変に酔って、また記憶をなくすとかは絶対にしたくない。
「分かったか?」
顔を覗き込みながら言われ、ドキッとする。
こんな間近で見つめられたら、この前の出来事を思い出してしまう。
せっかく考えないようにしているのに。
「……っ、うん。そっちも飲みすぎないようにしなよ」
「俺は大丈夫。自分の限度を知ってるから」
どの口が言っているんだ、という言葉をのみ込んだ。
酔っぱらって私にしたことを忘れているくせに、自信満々に言うテツが憎らしい。
でもよく考えたら、私もテツと関係を持った日のことを忘れていたので、人のことは言えない。
お互いにアルコールには気をつけるべきだと思う。
「じゃあ、先に戻るね」
そう言って背を向けた。