再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
意識するなと言われても、無理な話だった。
そっと隣を見ると、視線がぶつかってドキッとする。
「そっか。なるほどね」
悪戯っぽく笑う顔に、反論の言葉が見つからなかった。
――ホント、悔しい。
そのとき、タクシーの車内に着信音が響いた。
「あ、俺か……」
テツがスマホを取り出し、画面を見た瞬間、眉を寄せた。
「ごめん、ちょっと出る」
私に一言だけ告げると、すぐに通話ボタンを押した。
「もしもし」
さっきまでとは違う、低く乾いた声に思わず息を潜めた。
「は? いきなりなんだよ。こんな時間に電話してくるなんて、トラブったのかと思っただろ。俺が誰と一緒に住もうと、お前には関係ない」
苛立ちを含んだ声と言い方で、相手が誰なのかなんとなく分かってしまった。
きっと、堂島さんだ。
「マジでしつこいな。アイツは俺の彼女だよ。嘘じゃねぇ。仕事じゃないなら電話してくるな」
強い口調で言い放つ。
彼女?
「いい加減にしろ。迷惑なんだよ。お前とは仕事以外で話すことは一切ない。これ以上、プライベートに踏み込んでくるなら、こっちにも考えがある。じゃあ」
通話が切れたのと同時に、タクシーがマンションの前で停まる。
支払いを済ませたテツはタクシーを降り、私もそのあとに続いた。