再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~

意識するなと言われても、無理な話だった。
そっと隣を見ると、視線がぶつかってドキッとする。

「そっか。なるほどね」

悪戯っぽく笑う顔に、反論の言葉が見つからなかった。
――ホント、悔しい。
そのとき、タクシーの車内に着信音が響いた。

「あ、俺か……」

テツがスマホを取り出し、画面を見た瞬間、眉を寄せた。

「ごめん、ちょっと出る」

私に一言だけ告げると、すぐに通話ボタンを押した。

「もしもし」

さっきまでとは違う、低く乾いた声に思わず息を潜めた。

「は? いきなりなんだよ。こんな時間に電話してくるなんて、トラブったのかと思っただろ。俺が誰と一緒に住もうと、お前には関係ない」

苛立ちを含んだ声と言い方で、相手が誰なのかなんとなく分かってしまった。
きっと、堂島さんだ。

「マジでしつこいな。アイツは俺の彼女だよ。嘘じゃねぇ。仕事じゃないなら電話してくるな」

強い口調で言い放つ。
彼女?

「いい加減にしろ。迷惑なんだよ。お前とは仕事以外で話すことは一切ない。これ以上、プライベートに踏み込んでくるなら、こっちにも考えがある。じゃあ」

通話が切れたのと同時に、タクシーがマンションの前で停まる。
支払いを済ませたテツはタクシーを降り、私もそのあとに続いた。
< 152 / 245 >

この作品をシェア

pagetop