再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
「……うん。ありがとう」

素直にお礼を言うと、テツはなぜか不服そうな顔をした。

「お礼ならキスでいいよ」

「は? バカなこと言わないでよ。こんなところでできるわけないでしょ」

声をひそめながら、テツの胸を押して距離を取ろうとする。
けれど、次の瞬間、顎を掴まれた。
逃げる間もなく顔を上に向けられ、そのまま軽く触れるだけのキスが落とされる。

「仕方ないからこれで我慢しとく」

満足そうに笑うテツを見て、心臓がどくんと跳ねる。

「だ、誰かに見られたらどうするのよ」

慌ててドアに視線を向けた。
鍵なんてかけてないから、誰が入ってくるか分からない。
職場でこういうことはやめてほしい。

「別に俺はどうもしない。なんなら見せつけてやりたいけどな」

そんなことを言われ、頭を抱えたくなる。
恵利さんにも『みんな気づいてると思う』と言われたばかりなのに。
テツの言動で、さっきまで頭を占めていた斉藤さんのことが、いつの間にか薄れていた。
不安になる暇もないぐらい、彼に翻弄されている。

「じ、準備が終わったから私は行くね」

これ以上ここにいたら心臓が持たない。
私は、逃げるように会議室をあとにした。
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