再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
あの日から一度も、美桜を忘れたことはない。
目に涙をため、唇を噛んで俺を見つめていた彼女の姿が、今も脳裏に焼き付いている。
「俺のこと、忘れたのか?」
美桜は困ったように眉を寄せる。
俺は小さく息を吐くと、覚悟を決めて名前を告げた。
「鳴海哲平」
その瞬間、美桜の顔色が変わった。
まるで俺から逃げるように、一歩後ずさる。
覚えてくれていたことは嬉しいけど、彼女の反応を見て胸の奥が鈍く痛む。
十二年前、俺はつまらない嫉妬から、美桜にひどい言葉をぶつけてしまった。
許されていないのは当然だ。
それでも話がしたかった。
あのとき言えなかった言葉を、今度こそ伝えようと思っていた。
だけど――
「それでは失礼します」
そう言って美桜はエレベーターへ乗り込み、俺は閉まりかける扉に向かって手を伸ばした。
「美桜、待って」
しかし願いは届かず、無情にも扉は閉じた。
十二年ぶりに再会した幼なじみは、再び俺の前から去って行った。
しばらく、閉じられた扉を見つめる。
あのときのことを、俺はずっと後悔していた。
謝罪の言葉すら伝えられないまま、十二年が過ぎてしまった。
二度と会えないと思っていた美桜に再会できたことは、奇跡みたいなものだ。
今度こそ間違えない。
やっと見つけたんだから――。