再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
本能的に身の危険を感じ、私は震える声で拒絶した。
「……嫌です」
掴まれている手を必死に振りほどこうとしたけど、びくともしない。
「無駄な抵抗はやめた方がいいよ。君と僕とでは力の差があり過ぎる」
そう言うと、掴まれていた手に力がこもり、指先が皮膚に食い込んだ。
痛みがじわりと広がり、唇を噛みしめた。
このままじゃ、本当に連れて行かれる。
とにかく、逃げなきゃ。
ふと、掴まれていない右手にバッグを持ってたことに気づく。
これしかない。
私は震える手でバッグの持ち手を強く握りしめると、斉藤さんに向かって思いきり振り上げた。
ガツッと鈍い音が響く。
「うっ……」
バッグの金具が斉藤さんの顔面に直撃し、彼の足元がふらつく。
手首を掴んでいた力が緩んだ隙に、私はすぐに手を引き抜き、開いていた助手席のドアを思い切り締めた。
バンッと大きな音が駐車場に響く。
「どうして、大人しくしてくれないんだ」
斉藤さんは痛みで顔を押さえながら、苛立ったように言う。
その姿を見ながら、ふと自分の左手首に視線を落とす。
赤く残った指の跡を見て、強い力で掴まれた恐怖がよみがえり、体が震えた。
逃げなきゃと思っているのに、足がすくんで動けない。
せっかくのチャンスだったのに……。
もうダメだと諦めかけた瞬間、ふわりと後ろから抱きしめられた。