再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
彼が向かったのは、駅の裏側だった。
賑やかな表側とは違い、人通りも少ない。
やがて着いたのは、駅から少し離れたコインパーキング。
何台か停められている車を見た瞬間、胸がざわついた。
ここで車に乗せられたら、本当に逃げられなくなる。
私は勇気を振りしぼって口を開いた。
「斉藤さん、どこに行くんですか?」
「二人きりになれるところ」
淡々と言われた言葉に、血の気が引いた。
「私……約束があるんです」
「そのことだけど、今日はキャンセルしてもらって」
「それは無理です。どうしてこんなことを……」
「全部君が悪いんだろ!」
急に声を張り上げられて、体がビクッと跳ねる。
心臓が激しく脈打ち、頭が真っ白になった。
どうして私が悪いのか、まったく理解できない。
「僕に黙って惣菜店を辞めるなんて、ひどいじゃないか。突然辞めたって聞かされた僕の気持ち、君に分かる? 毎日、弁当を買いに行っていたのに……」
そう言って、責めるような目で私を見る。
「でも、こうして会えたんだから今までのことは許してあげる」
さっきまでの刺々しさとは打って変わり、斉藤さんは優しい声色で話しかけてくる。
その変わり身の早さが、なによりも恐ろしかった。
「やっとゆっくり話ができる。さぁ、車に乗って」
助手席のドアを開け、まるで恋人をエスコートする仕草で促してくる。