再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
もう十分飲んだはずなのに、まだ少し飲み足りない。
でも、何杯も頼んだから会計もそれなりの額になりそうだし、さすがにこれ以上はやめておこう。
それにしても、二度と会いたくないと思っていたテツと、こうして普通に話していることに自分でも驚く。
面と向かって謝罪してくれたし、なくしていたと思っていた桜のピンも戻ってきた。
せっかくの機会だし、このまま別れるのも名残惜しい。
もう少し、テツと話したいかも。
そんなことを考えていると、ふとあることを思いついた。
「そうだ! テツの家で飲み直そう」
「はぁ? お前、自分でなにを言っているのか分かってるのか?」
「分かってるよ。だから誘ってるんじゃん。ダメ?」
「いや、ダメってわけじゃないけど……」
歯切れが悪く、なんだか少し焦っているようにも見える。
こんなテツを見るのは初めてで、ついからかいたくなった。
「分かった。家に彼女がいるんでしょ」
「彼女はいない」
テツは食い気味に否定した。
「ホントに?」
「本当だ。高校のとき以来、そういう存在はいない。正直、それも無理矢理付き合わされて、一週間もしないうちに別れたから、あれを彼女って言えるのかは微妙だけど」
へぇ、一週間でも付き合ったことがあるんだ。
なぜか、胸の奥がモヤモヤする。
「でも、テツはモテるでしょ」
何気ない口ぶりで尋ねたけど、どんな返事が返ってくるのか気になった。