再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
「確かに苦労しなかったから、それについては否定しない。でも、社会人になってからは落ち着いてる」
「それって……」
彼女はいないけど、そういう関係の人はいたってことなんだろうか。
「わー、テツ最低」
冗談めかして言いながら、ジロリと睨む。
「最低でもなんでもいいよ。何年も前のことだし、心が伴わない行為は、なんの意味も持たない。俺が心から欲しいと思った女はひとりだけだから」
テツが真剣な眼差しで私を見つめてきて、心臓がドキッと跳ねた。
彼がそんなふうに想う人って、誰なんだろう。
気にはなるけど、それ以上考えるのが嫌になって、私は無理やり話題を変えた。
「じゃあ、テツの家に行こう!」
勢いよく立ち上がった瞬間、足元がふらつく。
バッグから財布を出そうとして、手が滑ってそのまま床に落としてしまった。
しゃがもうとしたところで、テツに止められる。
「この酔っぱらいめ! さっきから危なっかしいんだよ。少しおとなしくしとけ」
テツは財布を拾って私に持たせると、自分のポケットから財布を出して、支払いを済ませた。
私もお金を払わなきゃ、と酔った頭で考えて朔斗さんに声をかける。
「あのー、おいくらですか?」
「テツからお代はいただいてます。またのお越しをお待ちしています」
「えっ?」
「ほら、行くぞ」
テツが私の腕を掴み、バーの外へと連れ出した。