再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
配達先である五階建てのオフィスビルの駐車場に、車を滑り込ませる。
思ったより道が空いていたので、少し早めに着くことができた。

弁当を保温ボックスに入れて配達している。
ボックスを持ち上げると、腕にずっしりとした重みが伝わってきた。

ビルの自動ドアをくぐり、足を進める。
このオフィスビルには保険会社、不動産会社、デザイン事務所、旅行会社などの会社が入居しており、私が目指すのは『水上デザイン事務所』だ。

エレベーターに乗り、デザイン事務所のある三階で降りた。
エントランスに足を踏み入れると、無人受付らしく、電話機が置かれている。
その横に取扱説明書が貼られていて目を通したあと、受話器を取って総務の内線ボタンを押した。

『水上デザイン事務所です』

「和田さん亭です。お弁当のお届けに参りました」

『少々お待ちください』

ほどなくして、ひとりの女性が姿を表した。
その人はゆったりめの服を着ていて、少しお腹のあたりがふっくらしている気がする。
もしかしたら、妊婦さんなのかもしれない。

「中へどうぞ」

会議室に案内されると、机の上にはすでにお茶が並べられていた。
あとは、お弁当を置くだけのようだった。

「こちらのテーブルの上に置いておいてください。経理から預かった封筒を取ってくるので、少し席を外しますね」

「分かりました」

対応してくれた女性は軽く頭を下げると、そのまま会議室を出ていった。
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