再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
斉藤さんに他意はないのかもしれないけど、どうしても変に勘ぐってしまう。
偶然という言葉では、片付けられないような気がする。

まさか、待ち伏せしてたり……してないよね?
いつもスーツを着ているから、仕事をしているはず。
それなのに、どうしてこんなに何度も鉢合わせするんだろう。

「じゃあ、またお店で」

斉藤さんは右手を軽くあげて背を向け、店の入り口へ歩き出す。
その後ろ姿を見つめ、私はしばらくその場に立ち尽くしていた。

「ただいま戻りました……」

裏口のドアを開けて、中に入る。

「お疲れさま。美桜ちゃん、どうしたの? 顔色が悪いけど」

私の顔を見たおばさんが、心配そうに声をかけてきた。

まだ、斉藤さんが危ない人と決まった訳じゃない。
だけど、万が一のことがあったら、店にも迷惑をかけてしまうかもしれない。
私は少し迷ってから、おばさんに斉藤さんのことを相談した。

「それでその人は今もいるの?」

「いるかもしれないです。このあと、私がレジに入るのか聞かれて……」

「そうなの?」

おばさんは腕を組み、なにか考え込んでいる。
そんなことより、今は昼時だ。

店も忙しいから、私がレジに入らないとパートの人も困るだろう。
あの人のことは、あとで考えればいい。

「店に出ますね」

ひとまず、私が我慢して対応すればいいだけのことだ。

「ちょっと待って!」

おばさんが私の腕を掴み、引きとめた。
< 55 / 245 >

この作品をシェア

pagetop