再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
私は息をひそめたまま、電話が終わるのを待っていた。
「履歴書を持ってきてほしいって」
電話を終えたテツが言う。
「分かった。用意しとくね。あと、土曜ちょっと出かけてくる」
履歴書も準備して、写真も撮らないと。
スーツなんて着る機会がなかったので、買っておいた方がいいだろう。
今までは普段着で通い、店でポロシャツに着替えていたけど、会社で働くとなるとそうはいかない。
頭の中でやるべきことを考えていたら、今までとは違う環境で働くんだという実感がじわじわと湧いてくる。
ふと、テツが口を開いた。
「美桜、俺も一緒に行く」
「えっ、ひとりで買いに行けるから大丈夫だよ」
「そんな冷たいこと言うなよ。ホント男心が分かってないな」
呆れたように言われ、首を傾げる。
男心ってなに?
「買い物ついでにデートしたいんだけど」
「デート?」
思わず声が裏返った。
「あのさ、俺が美桜のことを好きだって言ったこと忘れてないよな」
拗ねたような口ぶりで言われ、胸がざわつく。
「わ、忘れてないけど……」
「好きな子とデートしたいと思うのは当たり前だろ。それに言ったよな、覚悟しとけって」
不敵な笑みを浮かべるテツに、心臓が大きく跳ねた。
あまりにもストレートな言葉に、顔が熱くなる。
「それに、買い物するにも足がいるだろ。車出してやるよ」
反論の言葉が見つからない。
結局、テツとデートという名の買い物に出かけることになった。