再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
「親父に外で経験を積んで来いって言われて、今の事務所で働いているんだ。最初は、なんでそんなことまで決められないといけなんだって反発したよ。だけど、実際働いてみたら面白くて、やりがいを感じているんだよね」
そう言ったテツの顔は、少し大人びて見えた。
それより、お兄さんが医者で、テツが会社を継ぐ?
立て続けにいろんなことを聞かされて、頭が追いつかない。
知らなかったことが多すぎて、どう受け止めていいのか分からなかった。
「美桜、聞いてる?」
「え、聞いてるよ」
不意に名前を呼ばれて、はっと顔を上げた。
目の前にいるのはテツなのに、さっきまでと少し違って見える。
なんだか、幼なじみという距離から遠い存在になった気分だ。
「で、どうする? うちの事務所で働くことはオッケーだよな?」
「……そこまで話が進んでるなら、断ることはできないと思うんだけど」
そう言いながらも、どこか流されているみたいな気がして、落ち着かないけど。
「じゃあ、近いうちに社長に会わせるよ」
テツはスマホを取り出して、電話をかけ始めた。
彼の行動の速さに目を見張る。
「あ、もしもし哲平だけど。いまいい? 例の件、了承もらった」
電話がつながり、テツが嬉しそうに話し始める。
「いつなら大丈夫? 来週ね、分かった。え、履歴書ね。準備するように伝えとく。了解。じゃあ、その方向でお願い」
会話の端々から、相手が彼の勤務先の社長だというのが分かる。