再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
ふと、テツの口の端にケチャップがついているのに気づく。
本当に子どもみたいなんだけど。

本人は気づいていないのか、そのままサラダを食べている。

「あー、もう」

思わず声が漏れていた。

「ここ、ケチャップついてるよ」

左の口元を指差した。

「マジで? 美桜、取って」

「自分で取ればいいでしょ。口の左側についてるから」

そう言って、テツを無視してオムライスを食べる。

「自分では見えないんだから、取ってくれてもいいだろ」

そう言うと、舌を出して唇の左側をペロリと舐めている。
だけど、それはわざとなのかと思うぐらい、全然取れてない。

「違う、もうちょっとほっぺ側」

私が指摘すると、ムッとして口を尖らせる。

「だから取ってって頼んだんだろ。見えないから、どこについてるか分からないんだよ」

どこか俺様っぽいけど、その中身はやけに子どもっぽい。
私は席を立ってティッシュを一枚取り、テツの口元を拭いた。

「取れたよ」

「サンキュ」

テツは満足そうに笑い、いたずらっ子のように目を細めた。

「てかさ、そこは美桜の舌で取ってくれてもよかったのに」

一瞬、意味が分からなかった。
なにを言ってるんだろう。

「そんなことするわけないでしょ」

ティッシュをゴミ箱に放り込み、何事もなかったように食事を再開させた。
< 99 / 245 >

この作品をシェア

pagetop