無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「たしかに。じゃあ……新年会みたいなものです。参拝ついでの」

 自分でも苦しい言い換えだとわかっているのか、言い終わりに小さく咳払いをする。

 「正式名称にはこだわらないので。気分転換でどうですか」

 視線は真っすぐなのに、耳の先がわずかに赤い。

 「嫌なら、無理には」

 そこで言葉を切り、幹人は肩をすくめた。

 「その場合は、諦めてひとりで行きますから」

 そう言いながら、ちらりと様子をうかがう目は妙に真剣だ。
 冗談でも軽い誘いでもない。ただ、素直に一緒に行きたいと言っているだけ。

 (……だから困るのよ)

 天音は視線を逸らし、棚に並んだ備品を見つめたまま、ぽつりと呟いた。

 「考えとく」

 それが精いっぱいだった。

 「いい返事、待ってます」

 幹人は念を押すような素振りも、期待を煽るような笑みも見せなかった。
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