無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 ネットサーフィンをしているときに偶然目に留まり、衝動的に買ってしまった。これまでだったら考えられない。家を出るときに、母親にまで『どうしたの?』と言われるくらいだ。

 「そ、そうかな。たまにはいいかと思って」
 「素敵ですよ」
 「ありがとう」

 照れくささを誤魔化そうと、マフラーを口元まで引き上げる。

 「寒くないですか」
 「大丈夫。歩いたらすぐ温まるし」
 「ですね」

 そう言って並んで歩きだした。住宅街を抜ける静かな道で、正月飾りの残る玄関や、遠くから聞こえる子どもの声が通り過ぎていく。

 「今日は付き合ってくれてありがとうございます。断られるかと思ってました」
 「どうして?」
 「なんとなく」

 いつも自信満々に推し進める彼にしては、ちょっと意外だ。断られるのを想定していないように見える。

 「でも、私が断ったって、誘える友達はいるでしょう?」

 ひとりで行くと言ってはいたけれど。
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