無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 杉村が、テーブルに置いてあるティッシュペーパーで唇を拭いつつ口を開く。

 「あの神社にはよく行くの?」

 思いがけない質問をされ、喉がぐっと詰まった。
 状況から、天音の姿を見たのはわかる。でも〝あの神社〟とは、どちらを指しているのだろうか。両親と行った自宅近くの神社か、はたまた先日幹人と一緒に行った神社か。
 口に入れていた麺を強制的に飲み込み、顔は前を向いたまま横目でちらっと杉村を見る。しかし当然ながら、それだけでどちらを指しているのかわかるはずもない。

 「……家の近くなので」

 賭けに打って出た。どうか幹人と一緒に行った神社でありませんようにと願いながら。

 「寺崎さんの自宅、あの辺だった?」

 杉村が続けざまに口に出した地名は、まさに土曜日に行ったばかりの後者だった。ドキッと弾んだ鼓動が、瞬く間にスピードを上げていく。
 天音の姿を見かけたということは、幹人も隣にいたはずだ。

 「……違いますね」
 「加地くんの家の近くってこと?」

 思いきり胸に吸い込んだ息をそのまま止める。
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