無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます

 昼は鈴川と行くことになった。

 「加地、快気祝いに奢ってやる」
 「ありがとうございます」

 エレベーターを降り、ビルを出る。向かったのは、会社から少し歩いたところにあるラーメン屋だった。天音と二度目の再会を果たした店だ。
 その後も何度か彼女と来ている。というよりは、幹人が強引についてくると言ったほうが正しい。それは決まって水曜日、彼女のルールに則って。

 「相変わらず混んでんな」

 鈴川は気にも留めず、空いているカウンターに腰を下ろした。
 幹人も隣に座り、メニューを開く。視線は自然とタンタンメンの文字に吸い寄せられた。

 「じゃあ、タンタンメンで」
 「ここのお勧めは味噌ラーメンだぞ」
 「寺崎さんに勧められて食べたら美味しかったんで」
 「ふーん」

 鈴川がニヤッと笑う。意味ありげな目だ。
 しばらくしてラーメンが運ばれ、湯気が立ち上る。
 箸を割ったタイミングで、鈴川が唐突に言った。

 「で、俺の送り込んだ薬、どうだった?」

 思わず箸が止まる。

 「薬?」
 「そ。効いただろ」
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