無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「まぁ、そうだろうな」

 だからこそ、なおさら現実味がない。なのに胸の奥に沈んでいく感覚だけは、やけに生々しかった。
 鈴川は箸を置き、改めて幹人を見る。

 「で」

 声の調子が、少しだけ変わる。

 「このまま、なにもせずに見てるだけでいいのか?」

 言葉が真正面から突き刺さる。逃げ場のない問いだった。
 幹人は視線を落とし、拳をぎゅっと握る。
 隠すと決めた気持ち。四月まで待つと決めた覚悟。全部が一気に揺らいだ。

 (見てるだけで……いいわけないだろ)

 けれど同時に、浮かぶのは天音のあの距離感と今朝の素っ気ない態度だった。
 幹人が黙り込んでいると、鈴川は再び箸を手に取った。
 湯気の立つラーメンを前にしながら、ひと口すすってから言う。

 「なあ、加地」

 名前を呼ばれ、顔を上げた。

 「待つってのは、きれいな言い方だけどさ」

 鈴川は淡々と続ける。
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