無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 杉村は手早くナプキンを取り、サンドイッチに手を伸ばしながら、さらりと続けた。

 「べつに詮索するつもりはないんだけどね」

 その口調が、逆に詮索していないふりであることを強く感じさせる。

 「寺崎さん、例の話、本当にするつもり?」

 フォークもナイフも使わず、杉村はひと口かじる。何気ない仕草なのに、視線だけは逃がさない。

 「どの話ですか」

 なにを指しているのかなんとなくわかっているくせに、天音はそう返した。
 杉村は小さく息を吐いて、コーヒーカップに手を伸ばす。

 「お見合い」

 たった四文字。それだけで鼓動が乱れた。

 「この前、ぽろっと言ってたでしょう」

 天音は、サンドイッチに視線を落としたまま、指先をきゅっと重ねる。
 幹人とのことを勘繰られて、つい零してしまったひと言だ。

 「……そう、ですね」

 そのお見合いは、今週末にある。まだちょっと先だと思っているうちに、いよいよ数日後に迫っていた。
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