無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
  そう言われて、幹人の肩がぴくっと揺れた。

 「俺から?」
 「うん」

 少し考えるように視線を彷徨わせてから、幹人は意を決したように天音を見る

 「……天音、さん」

 下の名前で呼ばれた瞬間、鼓動が大きく跳ねた。たったそれだけで、世界の輪郭が変わった気がする。

 「どう?」

 杉村が楽しそうに聞く。

 「破壊力、ありますね」

 天音は正直に答えた。
 それを聞いて、幹人がほっとしたように笑う。

 「じゃあ……」

 天音は少しだけ間を置いてから、口を開いた。

 「幹人くん」

 声にした途端、今度は彼が固まる。

 「……やばい」

 思わず本音が漏れたような言い方に、場が一気に和んだ。
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