無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 彼女は幹人の言動にいちいち反応して、リスみたいに丸い目をくるくる動かしていた。石橋を叩いて渡るタイプなのだろう。何事も慎重な人間らしい。極力リスクがないように生きている。幹人とはまるで逆だ。


 「まぁ、もう会うこともないだろうけど」
 なんかもう一回ありそうな流れだよなと一瞬思ったが、「ないない」と顔の前で手をひらひら振る。これまでの人生がそうだった。三度も重なる偶然はない。

 フレックスは何事もなかったかのように枝に戻り、静止した。その色が、ほんの少しだけ明るくなったのは――きっと気のせいだ。
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