無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 尊敬の眼差しを向けると同時に、これまで二度遭遇した彼のイメージとのギャップに目を瞬かせずにはいられない。

 (って、感心してる場合じゃないでしょ)

 嵐を巻き起こしそうな男と、こんなところで再会なんて信じたくない。これは夢。きっとそうだと頬を抓ったが、当然ながら痛みを感じてしかめ面になる。

 「いえ、持ってるだけで、使いこなせるかはこれからです。今日はまず、邪魔にならないように頑張ります」

 杉村の説明に幹人は謙虚に答えた。

 「寺崎さん、今日はあなたがメインで加地くんの面倒をみてあげて」
 「えっ」

 突然指名されて上ずった声になったそのとき、幹人の視線がふと流れてきて、天音のところで止まる。

 「あ」

 ひと声そう発した次の瞬間、彼の表情がぱっと明るくなった。

 「この前の」

 周囲がいることなどまるで気にしていない声音で、幹人が続ける。

 「おかげさまで、あのラーメンおいしかったです」
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